ボ・ガンボス / トンネルぬけて

from al. 『Bo&Gumbo』 89


 初めてギターに触れたのは1995年、中学3年の音楽の授業。学校の授業だもんでエレアコとかじゃ当然なくて、ボディが傷と落書きだらけのボロボロのクラシック。それでも「うわぁ俺ギター弾いてる!」っていう感動はすごくて、瞬く間に病みつきになった。

 週に1回の授業じゃ飽き足らなくて放課後の音楽室。先生が所用で残り、しばらく教室の空いている日はクラスメイト数名で連れ立って出向き、クラシックのぐにょぐにょした弦を何時間も弾いて歌ったりしていた。「そろそろ教室閉めるよー」「えー。あとちょっと。あとちょっとだけ! Fが綺麗に弾けるまで!」「お前、俺を音楽室で宿直させる気かよ」みたいな(笑)ベタな群像があったりとか。


 「指が長くて余ってるよ。ギター向きじゃないかもな。君はピアノのほうが向いてる」って先生に言われて多少のショックはありつつ、それでも楽しくて仕方なくて、やがて放課後の音楽室の常連になった。

 どうにかFやBも鳴るようになって、たどたどしいながら弾き語りで曲を歌ったりもできるくらいになった頃、放課後の音楽室で毎日この曲を歌ってた。「お前が弾いてんのそれ、なんて曲?」「んとねー。ボ・ガンボスっていうバンドの『トンネルぬけて』って曲」「知らねー。けど良い曲じゃん」・・・http://www.fsinet.or.jp/~bluemoon/donto/song/bo/1_9tunnel.html


 中3の頃といえばミスチルスピッツ。あとB'z。そういう実に明快な「オリコン・チャート至上主義」というか、「30位以下のチャート・アウトな文化圏には用ありません」みたいな(←言いすぎ・笑)音楽ライフをぼく送ってて、けれどなぜかボ・ガンボスの1stだけはCDラックに(1枚だけ浮いた形で)ちょこんと並んでて、それでこのアルバムを良く聴いていた。

 その頃CDラックに並んでた中で、9年後の今もコンスタントに聴きつづけているのは「Bo&Gumbo」と、あとほんの数枚だけだ。浮いていた「たった1枚」は、けれど9年の歳月の間に「されど1枚」にいつしかなっていた(ちなみにソウル・フラワー・ユニオン中川敬さんが選曲したボ・ガンボスのベスト盤では全17曲中、この1stからのセレクトが7曲にも及んでいる。この偏り方もまたぼくは好きです)。


 今「ほい」ってギター渡されてもたぶんもう弾けないと思う。けど、コンポから流れてくるどんとさんの歌声に、自分の声を重ねてソラで歌うのはいつでもできる。今もそうしながらこの文章を書いている。風の騒いでいない日に、海も見えないこの場所で、窓も開けず閉めきった部屋で。

 あー・・・全然レヴューじゃないけどまぁいいや(笑)単なる思い出話。ということで。はい。