Over The Top


 「ばら」って漢字で書ける?

 じゃあ「しょうゆ」は?


 ・・・といった他愛ないやりとりは国内全土ですでに一定回数やり尽くされた感があり、そのせいもあって「薔薇」や「醤油」と書けたりするのは今や珍しくも特技でもなんでもない。

 だから今日久しぶりに行った学校の、食堂で知人の玉置さんと三浦さん(どちらも仮名・・・に一応しておく)がまさにそういう戯れをしていて、玉置さんの繰り出す「こーひー」「あいまい」「ゆううつ」などを三浦さんが次々「珈琲」「曖昧」「憂鬱」と変換してみせていくのを「わー。すごーい」と彼女が絶賛する傍ら、ぼくは「ふーん・・・で?」って感じだったんですけど。うわ感じ悪っ。けど、だって実際すごくないし仕方ない。


 で何を言いたいかというと、得意げに「そんなことないよー」と謙遜する三浦さんに、意地悪なぼくは意地悪のつもりで「じゃあ『じんましん』は?」って質問したら、悩む素振りもまるで見せず、三浦さんがすらすらと綺麗な字で「蕁麻疹」と書いてみせたのでぼくは素直に「ごめんなさい」と思いました。

 や、すげぇってそれは実際。


 あと2段落めに思わず「久しぶりに行った学校」とか書いちゃったけど全然本件と関係ないってゆーかわざわざそんなのを書かずにいれない自分がすごく嫌いです。キャンパス内は酸素濃度が薄くて息苦しい。ぼくらに今、最も必要なのは酸素ボトルかシリンダーだ。