第28話 「第1回 緊急卒業対策 卒論ほとんどできてねぇよ会議」


 「え〜〜現在、完成原稿は『参考文献』と『謝辞』の2Pだけという状態ですが・・・・・・ここに至る経緯はひとまず置いといて! 今後どうするかを話し合いまショ――!

 え〜〜・・・まず・・・・・・追加実験を行うのは・・・・・・ムリ? なのかな?」


 「1ヵ月じゃ無理でしょうね。

 ただ・・・追加じゃなくとも実験結果を水増しすれば見逃してくれるみたいです。賄賂は要るでしょうけど。

 でも賄賂ぐらいいくら払ってもいいんですけど、水増ししてもやる気がないんじゃ意味ないですよね!」


 「・・・という事ですが。どうですかam山さん?」


 「・・・・・・て、てゆーかぁ・・・・・・そもそもそ、卒論が出せてもな、内定が出てないってあたりにむ、矛盾があるんじゃない?」


 「いやだからそれは置いといてね」


 「か、形としてはニート一直線てわ、わけだしね――」


 「いやっ・・・・・・でも書く量は少ないでしょ!? 実験は去年の流用で、表とかグラフをデカく載っけて枚数稼げるって話だし。あと適当に分析だけして書いて下さいって言ったでしょ?

 ひとまず卒業優先って話したでしょ?

 他のゼミ生なんかゴールデン・ウィーク明けには内定もらってたんですよ? 就活、1ヵ月かかってないですよ!!

 am山さんは2ヵ月経っても『就活が終んねぇ』とか言って、しまいにゃ『いったん中止』とか言いましたよね? ダメって言ったのに。

 すぐ再開するって言うから先に卒論やる気かな? と思ったら、案の定全然で。

 何て言ったか覚えてます?・・・・・・『やっぱフジ・ロック行きたいよね』

 じゃあ夏前にとっとと就活終らせろって話ですよ!! そうでしょ!?」


 「あ――・・・・・・そ、それは確かにお、俺が悪かった。

 で、でもね? 俺が言いたいのはも、もっと根本的な事で・・・・・・り、理想と現実の温度差みたいなとこなんだけど・・・・・・」


 「・・・何すかソレ? 『本当は就活したくなかった』とか言うつもりですか?」


 「いや『だんだんする気がう、失せていった』」


 「・・・・・・それは誰のせいナンデスカ?」


 「いや――結局やるのは俺一人――みたいな?」


 「しょーがないじゃないですか! 未だに進路未定のゼミ生なんてam山さんしかいないんだから!!」


 「お、俺だって忙しいんだよマジに! は、はてなとか mixi とか!!

 は、はてなはそれなりに更新してるし、み、mixi は確かにテキトーだけど・・・俺はちゃんとインターネットしたいんだよ!!」


 「いやっ・・・・・・だからはてなとか mixi への現実逃避はさっさと切れって言ったじゃないすか。am山さんは卒業だけ考えればいいようにって・・・・・・それでも卒論やらないんですか?

 温度差があるなら、理想が高いんじゃなくて現実の認識が低いんじゃないですか?」


 「・・・・・・・・・そ、それは同じ事だろ?」


 「いえ。来年の身分が違います」