The World In Peace


 友人と喧嘩をしました。

 かなり険悪なムードになった。とても仲の良かった彼と、こういう形で仲違いするとはまさか思ってなかったので、ひどく落ち込む。今日は天気が良かったけれど、そのせいで空は灰色っぽく燻んで見えた。胸の辺りが少し重い。いつかぼくらは、また「良き友」に戻れるだろうか。


 以下、その顛末(キャンパスの中庭にて)


 「あ、もとしめじだ」

 「もとしめじ?」

 「ほら、あいつだよ。あそこの壁んところの、青い服着てる奴」

 「ああ、あれか。で・・・もとしめじって何?」

 「いや似てんじゃんあいつ。すげー似てる。むちゃくちゃもとしめじっぽい」

 「いやだからもとしめじってなんだよ」

 「いたじゃん『編集王』に、本占地。あの眼鏡で丸くて、弱めのキャラだよ」

 「あぁー・・・はいはい。あ。ほんとだ似てる」

 「だろ? やべーなあれ似すぎじゃね? 本物なんじゃねーの」

 「うん、確かにむちゃくちゃ似てるけど、ちなみにあれ『ほんしめじ』だから」

 「は? 違ぇよ、もとしめじだよ」

 「いや違くて、ほんしめじだから」

 「いやもとしめじだって、マジで。悪いけど」

 「いや悪いけどほんしめじだから。それは正直、譲れないから」

 「いや俺も譲れないから。それ本気で」

 「いやだから悪いけどお前勘違いしてるから」

 「いやお前だからそれ。マジで。絶ッ対ぇもとしめじだから」

 「違ぇっつってんじゃん。勘違いだってお前それ」

 「だからお前がそうだって。お前が思い込んでるって」

 「いやお前勘弁しろよ。本気で怒るよそれ」

 「だから認めろって。お前勘違いだから」

 「いや絶対お前が間違ってるからほんと。熱くなってるとこ悪いけど」

 「つーかお前が間違ってるくせに言い方がムカつくんだけど」

 「いやムカつくのこっちだから。悪いけど」

 「は? つーかお前(以下略)


 ・・・というわけなので無二の親友とトラブりたくない平和主義の貴方は、好きな漫画のキャラの名前を正しく読めなくてはならない。これが教訓①。

 教訓②は、人間が2人揃えばそれだけで、どんな些細な諍いも大紛争の火種たりうる。という警句。中庭は世界の縮図であり、ここに有史以前から今へ至るまで、そして未来永劫、絶え間なく戦争を繰り返す人類の業(カルマ)を垣間見れる。


 ので聡明なる読者諸兄は、大教室の最後列でルース・リーフに落書きしながら老人の退屈な講義を聞き流してる暇があったら1冊でも多く漫画を読みなさい。それは決して怠惰でなく「世界平和への貢献」という名の大義なのだから。


 ただし留年は自己責任なので当方、責任は負いかねます。