Blankey Jet City / ダンデライオン (video clip)

amn2005-01-03

from VHS 『Babyface President』 98


 ビデオ・クリップってのにもともとあんまり興味がなくて、特に後録りの演奏風景をちょこちょこ加工かなんかして曲に乗せただけのやつとか殆ど見たいと思わない。それよりは楽曲のイメージ(や歌詞)を物語に起こしてショート・ムーヴィーっぽくつくられたほうのが全然好き。

 Blankey Jet City のビデオ・クリップは主に前者のパターンが多く、正直あんまり繰り返し見たく思えるのって少ないんだけど、唯一「ダンデライオン」が傑出して素晴らしい(これは後者パターン。後述)ので未見のブランキー・ファンに是非お勧めしたい。そもそも「ダンデライオン」っていう曲じたいはブランキーの中でさほど重要って感じじゃないし、ぼく自身も特別な愛着や思い入れがあるでもないんだけど、クリップのカッコ良さでいえば間違いなくダントツだと思う。


 ストーリーは、まぁどこにでもあるロード・ムーヴィー。くたびれた街を俯きながら歩く主人公の少年が、3人の男たちとの小さな3つの出会いを経て、ほんの少しだけ成長する・・・みたいの。「このクソみたいな世界で、だけどちょっぴり素敵なものに出会いました」っていうベタなあれですね。で、そのたった5分の短編(というかクリップだし当たり前)ですけど、これがもう素晴らしく良い。

 何が良いって、とにかくメンバー3人の顔が良い。演技っぽくない演技(下手っていう意味じゃなく、かといってむちゃくちゃ上手くもないんだけど演技「臭さ」が殆どない。というか気にならない。多少のぎこちなさが目につかず、すっ。と画面に入り込める)も良い。度々言ってますがぼくは中村達也さん贔屓なんで、彼と少年のやりとりするシーンがいちばん好きです。ガムを差し出す達也さんの笑顔だけで軽くご飯3杯はいけます(いけません)


 でも浅井さんがラムネを「ほら。こうやって開けんだよ」ってジェスチャーする場面も好きです。照井さんが「うざってぇなぁ」って感じでクラクションをドツくとこも好きです(たぶんこれは100%素だと思う・笑)・・・ってなんだこのミーハー魂の炸裂した文章は。

 ぶっきらぼうで、怖くて、近寄りがたくて、だけど弱い者にだけ見せる小さな優しさ。全面的にじゃなく、軽く背中を押すようにだけ差し延べる不器用な手。文字に起こすとそんな、チンケなヒューマン・ドラマが、けれどどうしてこう感動的に胸を打つのか。それは・・・まぁ言いませんけど。見れば伝わると思います絶対。


 見てください。Tsutaya で借りれるはずなんで(初出は「Babyface President」という VHS ですが、現在はもう1つのクリップ集「Candy Or Hell」との 2 in 1 で「Clips」として DVD 化されてます→asin:B0000646OU


 なお「Clips」には Blankey Jet City 後期のビデオ・クリップが全て網羅されていますが、他に男子諸君全般にお勧めできるのが「癒し系クリップ連作」として(俺の中でのみ)名高い「左ききのBaby」と「赤いタンバリン」で、これをリビドー全開率120%なお前らのためにわかりやすく言い換えてあげると「チアガール(パンチラ付き)」と「綺麗なお姉さん×2」です。

 そんなにー美人なわけじゃないがー♪ という浅井ヴォーカルをバックに、どっからどう見ても美人なお姉様2人が妖艶に絡む絵の逆説的なミス・マッチのハーモニー(適当)を、見たくないとか抜かしやがったらぼくは貴方を許しません人間として。および一部の眼鏡男子愛好家には達也さんの眼鏡姿が! 黒縁が! という点で「小さな恋のメロディ」を推奨しておきますがどんだけ需要あるかどうかは知らん。