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 2001年後半のぼくはひたすら Rovo ばかり聴いていた(その年のフジ・ロック、Field Of Heaven で見たステージが、それはもう凄まじかったからだ。至福の経験だった。と同時に自分が好んで聴く音楽の、1つの転換点でもあったと思う)


 2001年6月に発売されたアルバム「Sai」の、アナログ盤が出回りだしたのが11月か12月くらい。当時アルバイトしていた渋谷のレコード店に、確か5枚だけ入荷されてきた。5枚のうち1枚はぼくの事前に予約しといた(つまり社販っていうのを使って)やつで、だから「ついでに他のやっといて(残り4枚を店頭に出せるよう、袋詰めして値札やシールを貼っといて。の意味)」と30cm四方の段ボール箱を指示された。

 渡された箱の中に Rovo の5枚と一緒に、一回り小さい10インチ・サイズのアナログ盤が3枚入っていて、それが Date Course Pentagon Royal Garden の「Playmate At Hanoi / S」だった。といっても当時ぼくはまだ DCPRG を知らなくて、ただジャケットの気持ち悪い絵と「Reinvent The Sex」というフレーズのインパクトが、なんとなく印象に残る程度だった。


 バイトの休憩時間や終了後は、毎日のようにタワー・レコードや HMV、Disk Union や DMR。テクニークとか。他にも小さなレコード・ショップをぐるぐるぐるぐる回ってた。すでに入手済みの「Sai」を、なのに行く先々の店頭で気になって確認したりする。していると、どこの店でも「Sai」の百合の花の隣に「Reinvent The Sex」の、2つの裸の尻のジャケットが背後霊みたくぴったり寄り添って並んでるのが目に付いた。

 同じレーベルから同発されたアイテムだし、セットっぽく扱われても別に変とか不思議じゃない(というか後になって知ったんだけど RovoDCPRG はスプリット盤で以前に共演してるから、むしろ当然といえば当然だった)んだけど、行く先々で何度もそのディスプレイを見るうちに、だんだん気になってくるのだった。


 んで最終的にタワー・レコードで衝動買いしたんだったと思う。それがぼくと DCPRG の出会い。初めて針を落とした「Playmate At Hanoi」は「なんかよくわからん。うにゃうにゃしてる。ベースがゴゴゴゴ・・・ってしてて好き。あとまぁ全体的に暗い」とかそんな感じだったと思う。けど不思議と気に入ってヘヴィ・ローテしてたなぁ。DJ んときかけたら全員ノー・リアクションで12分間の無風地帯をつくってしまい、大いに困った思い出もある(笑。まぁかけてる本人がアーティスト名すらロクに知らないくらいだし無理もない。けど結局カット・アップしないでフルでかけた。直後にスーパーカーの「Strobolights」かけたら一気にフロアが甦って大盛り上がり。むちゃくちゃすぎる。全てがもうわけわかんないけど、とりあえずこんときは楽しかった)

 まさか当時は、この「うにゃうにゃしててゴゴゴゴ・・・ってしてて全体的に暗いよくわからん人」に自分が師事することになるなんて思いも拠らない。けど「はじまりの曲」として、ぼくにとって未だに大切すぎる曲なんで「Playmate At Hanoi」に3点。そういえば「S」は今に至るまで殆ど聴いたことがない。