Pay to reel 2


 One Piece 36巻が久々にけっこう面白かった。

 Hunter×Hunter 21巻がなんていうか、まぁ、うん。

 Death Note 5巻は相変わらず夜神局長's リアクションの一人勝ちでした。


 いろいろあったけど私は元気ですけど言うまでもなく MVP は「Hunter×Hunter」に決まってまして、今巻に於いても「注目ポイント」を逐一挙げてるとキリないので割愛しますが、どのみち「Hunter×Hunter」が紛れもない傑作であるのは揺らぎません。描きたいもの、描きたくないもの、描きたいけど描けないもの、描かせてもらえないもの、描きたくないけど描かざるをえないもの、半ば自動筆記的に描いてる部分の投げやり感、技量としての予定調和、少年誌の最低限の倫理(と、その限界)、本音と建前、欲望と抑制・・・全てが「ギリギリ」という一言に凝縮されるあらゆるパースが、たった1本のか細い線上で奇跡的に共存し、連載ペースと背景の描き込みこそグダグダに堕ち果てようとも細々と刊行されつづけている。

 これはもはや漫画とか作品としてどうこうの次元をとうに超えていて「Hunter×Hunter」という名の総合芸術と見なければならない。というより「Hunter×Hunter」はサブ・タイトルで、「富樫義博」こそが本題です。バンド名がそのままタイトルのアルバムみたいな感覚で。これほどの混沌<カオス>が、かの「少年ジャンプ」誌上でリアル・タイムに連載されている現代に生まれ落ちれた我が身の幸運を、我々は至上の喜びとせねばなりません。今7〜8歳のジャンプっ子らの将来は大丈夫でしょうか。他人事ですが不安を隠せない。俺ならトラウマ確定っぽいよ。


 破綻という名の宿命を抗いもせず受け入れ、現実逃避と自己満足界へ堕天してしまった萩原一至伯と比べるべくもありませんが、今なお第一線で全身全霊、奇跡を体現しつづけている富樫義博卿の漢気(≒ギリギリ感)は我々の涙腺を刺激して止みません。表紙折り返しのコメント・スペースに10秒で殴り描かれたへのへのもへじ、たった1行「いっぱいいっぱいです。」と10文字だけ書かれた作者コメント、そしてその隣に「週間少年ジャンプ・H16年15号、17号、18号、22・23合併号、30号、32号、34号、35号、37・38合併号、40号、46号、47号掲載分収録」と長々並ぶ初出記載・・・なんていうかもう美しすぎる。

 今巻のベスト・テイクとして「誕生した王がドラゴン・ボール」「パーム先生大活躍」「カイト先生も大活躍」・・・といった少年漫画至上屈指の名シーンを挙げるのは簡単です。しかしその程度で満足してしまっては彼の漢気(≒ギリギリ感)に水を指す結果しか生みません。賢明なる我々読者としては、やはりここで一抹の迷いもなく「肉樹園」というフレーズの圧倒的なオリジナリティと、その唯一無二にして究極のインパクトを手放しで称えたいところです。


 この興奮を年内にもう1度、体験することができるのか。高鳴る鼓動を早くも抑えきれません。つか、や、にしても肉樹園てすごい。ほんと。