月面リサイクル・6


 長いよ!

 ・・・過去、俺が何度食らった知れない突っ込みです。そして反論もしません。つーかできません。実際「月面」は無駄に長文が多いです。無駄とか無意味とか、まぁなんか要はそういうのばっかってことです。言いたいことを適量の短い枠内に収めきれず、ついだらだら長文化してしまうのが俺の悪癖ですけど、じゃあそれでいちばん困ったり手を焼くのは誰よ? ってなると、これ他ならぬ俺自身なわけです言うまでもなく。

 つーか俺だって短く済ませれるもんなら済ましてぇよバカ! 楽だしよ! そんなんわかってんだハゲ! と逆ギレしつつ、全国何百万の毛髪の不自由な人々を挑発しつつ、何千万の予備軍の皆様(俺含む)を潜在意識下で敵に回しつつ、さりげなく含まれてしまった俺は全身全霊を以てそれを否定しつつ、今日はそんな俺も頑張って短くまとめてみましたよ。たまにはサッパリ攻めますよ。的「1行日記」を掘り返してみたいと思います。短いとかサッパリとか言うな! いや俺は関係ないけどねプレイ・バック!


■ 秩序のない現代 (id:amn:20040615)


 「女子高生の飛び蹴り」っていうのを生まれて初めて至近距離で見ました。

 うわ。これもう1年前か。未だ脳裏に焼きついてますけどね鮮烈に。だってこれすごいよ? ほんとすごかったよ間近で見たら。女子高生飛んだからね、マジで。ふわっと。それを眼前 2m で、生で目撃しちゃった俺の衝撃というか。その圧倒的にハイ・クオリティなインパクトを、どうにか少しでも感じとってほしいと考えた結果、1行で表現してみました、と。

 このたった1行、31文字に90分くらいかけてますからね俺。バカですけど。どう考えても頭悪いですけど。ほんとは最初、20行くらいかけて延々状況説明とか、俺がそれを目撃するに至った経緯を詳細に書いたんです。けど緻密に再現すればするほど、あの瞬間の「異質さ」「ありえなさ」が薄らいじゃってく気がして全部消して。


 だって、ちょっと考えてみて飛び蹴りですよ? 飛び蹴りって、もうその時点でそんなのないじゃないですか。普通に日々を生きていく中で、そうそう出くわさない類いのモンじゃないですか。それが目の前で、10何歳の小っちゃい女のコが、ふわっと舞って、ガツッとキメたわけですよ華麗に。炸裂ですよ? でまたその相手がさ、もういかにもダメそうな、たぶん実際ダメなんだけど、なんていうの? 「Born To Be 鹿島田」みたいな。南武線ていう電車って皆さん乗ったことあります? すごい殺伐としてるっつーか、荒んでるんですよ南武線。その南武線の荒みっぷりが、神の気紛れで受肉してジャージ着てちょっと商店街歩いてみましたー・・・みたいなさ、もう「いかにも」って感じの兄ちゃん(ガラ悪め)なわけですよ。そのコントラストの妙もまた見事という他なくて。

 とにかく全てが圧倒的だったね、あの瞬間。ほんと誰か隣にいてほしかった。俺が独占しちゃって申し訳ない気さえするもん。あれは絶対、あの場で、俺と同じ位置で見てたら刻まれますよ100%、心に。「現実」ってすごいよ。強度が違う。

# bouya12 『漫画のようですね。』

# amn 『壮絶でした。蹴られたジャージの兄ちゃんが、すごい勢いでフッ飛んで立て看板に激突した。』

# fuyutaro 『ちょう見たかったそれ!飛び蹴り、しかも女子高生! つーかボニーさん1曲目めちゃめちゃいいよね。こればっかり聴いちゃう。』

# amn 『「Private Laughter」ほんと良い。ぼくも再生率がすごいことんなってます。ボニー・ピンクって毎回アルバムの1曲めを先行シングル切ってくるけど、その潔さっつーかストレートな姿勢も含めてカッコイイと思う。しっくりくるんだよね。どんだけ名曲なり売れ線だろうと、アルバムのラスト2〜3曲らへんを先に切られてるとなんか違和感っていうか、微妙に冷めちゃうことって多い(・・・でもない? 俺だけかなぁ?)』

 そしてコメント欄で突如、捻じ曲がる進行方向。これは当時出たばっかだった Bonnie Pink のアルバム「Even So(asin:B0001RBVR8)」についての話ですけど、あまりに脈絡がなさすぎてなぜ? と思ったらおおもりさん(id:fuyutaro)なんですけど、この換言にも要約にも全然なってない「つーか」はちょっと神がかってます。はてな接続詞の魔法使いトップ・ランカー(認定者:俺)こと P415 女史(id:piyo_hiko)と比べても遜色ないレベルの高次時空魔法ですこれは。そして受けきれずにマジレスしてしまう俺、の図。


■ 無題 (id:amn:20040916)


 民明書房に内定しました。

 続いてこちら。「月面」史上最短エントリー(11文字)にして、最大の混乱を招いた問題作。問題作とかって自分で言っちゃうとなんか急激にショボイ響きを帯びるわけですが。

 けど、これほんとに大トラブルでした。2004年9月当時ってぼく就職活動の真っ只中で、はてなやら mixi やら公の場とか、或いはメールのやりとりやメッセなど個の場も含め、とにかく事あるごとに就活(が、うまく行ってないこと)をネタに自虐を並べ立て、それによって現実のうまく行ってなさを自分の中で消化する・・・というか誤魔化してた頃で。


 この11文字エントリーも勿論そのタチの悪い一環で、内定しました・・・と見せかけて嘘かよ! って言う、ただそれだけがしたかったんですけど。ここに於いて主な問題点は2つで、1つは「お前ちょっとみんながみんなジャンプ読んでると仮定しすぎ病」であり、もう1つは「キーワードの設定とか配慮しなさすぎ」です。

 念のため改めて解説しますと、民明書房っていうのは「人間は死んだように見えて実は死なない」という壮大なテーマを追求した、少年ジャンプ金字塔漫画の1つ「魁!! 男塾」内に於いて、必殺技の解説欄に、文献が根拠として頻りに引用されていた架空の出版社であります。詳しくはキーワードを参照していただくとして、架空の、です。ここ重要(というか、これが全て)


 さて「お前ちょっとみんながみんなジャンプ読んでると仮定しすぎ病」患者である am さんは、例によってその発症が「男塾読んでない奴なんて人類に存在しない」という誇大妄想を生み、したがって10人中10人がこの内定は嘘であると。ちょっとしたトリックと気づかないはずがない・・・そんな大変に香ばしい認識でこれを書いたわけです。


 大間違いでした。


 被害者続出。俺が思っていたのを一回りどころか10回りくらい下回っていた民明書房の認知度。えー、マジみんな知らないの? 素で? とビビらずにいれない俺ですが、さもありなん。「万一誤解されてはシャレんならん。申し訳なさすぎて」との配慮から、事前にキーワード「民明書房」が存在するかを確認し、ちゃんとあったので「これで100%大丈夫だ」と意気揚々とアップした俺ですが、考えてみれば「月面」はどれとどれがキーワードなんだか一見きわめて判別しづらい仕様だったのです・・・てゆーか自分でそうしたんすけど。

 つまり完全なる自爆。読まれてなかったジャンプ! 機能しないキーワード保険! と、これだけで散々たる状況下、さらなる愉快犯の闖入で事態は加速度的に悪化していきます。

# season 『おめでとうございます!(^^)』


 竹田さん(現 http://www.ultrasync.net/naph/)キター!

 俺の「仮定しすぎ病」を何100回差し引いたところで、それでもジャンプを読んでないわけがないこの男、絶妙すぎる援護射撃で俺の内定ムードを演出。もっともカラクリを知っている人間が読めば、末尾にマークされたうさんくさい顔文字の意味する「ネタ信号」に気づくはず。しかしその理解者は少数民族にすぎなかった。

# amn 『ありがとうございます。民明書房は小学生の頃から憧れていた出版社なので DOKI☆DOKI です。全身全霊を込めて魁たい所存であります。と・・・虎丸〜ッ!』

# amn 『今度生まれかわってくるときも桜花咲く男塾の校庭で会おうぜ・・・!』

 そうとも知らずラリーに応じる俺。「DOKI☆DOKI」なるフザけた表記、「と・・・虎丸〜ッ!」の固有名詞(そういうキャラがいる)、そして虎丸の放った名台詞「今度生まれかわってくるときも桜花咲く男塾の校庭で会おうぜ・・・!」の引用、どれもが空転。そうこうしている間に続々とメール・ボックスを埋めていく、純粋な皆様からのありがたすぎる祝言。それは本当にありがたかった。ありがたすぎました。もし実際このとき内定してたら、嬉々としてその1つ1つに感謝の長文をしたためたことは想像に難くありません。

 しかし残念ながら、その「もし実際」は実際じゃなかった。ありがたさの倍速で膨張していく罪悪感。俺はこのときほど「月面」やってて、生まれてきてすいませんを痛烈に実感したことなかったね。おまけに話はオン・ラインにとどまらず学内へも波及し、三田キャンパスで久々に会った友人に「よう久しぶり。就職決まったんだって?」とスマイルされた日の絶望たるやシャレんなってませんでした。ごめんマジで。


 ・・・とまぁ、こういう悲劇が実際起こりうるわけですから皆さんジャンプ読みましょうジャンプ。俺はだってコピペ一切なしの謝罪メール12通と、あと mixi で謝罪文まで掲載しましたよ。自業自得ですけど完全に。悪いのは98%俺ですけど(残り2%が竹田枠)

 というわけで、以上から導かれる教訓は「オタクだのジャパニメーションだの騒がれてるけど実はそれほど日本人て漫画ばっか読んでないから気をつけろ」ということです。あと「ショウジくん(id:maikuhama)頑張ってね」ということです。何を頑張るかの解釈は君に委ねますけど、俺は心から、そう願っています。Peace.