amコック長の調理日誌


 フジ・ロックへ向け金を節約しなければならない。今頑張って浮かした500円が、2週間後の苗場で至高の1杯に変わるのだ。そのために今は耐えねばならない。と考えて昼食を抜きだした途端、案の定・・・というか超速攻で夏バテくらって死にかけてしまい「抜くの良くない」と思った。で(そもそも最初からここへ行き着けよ。ていう話なのだが) I Must Je Suis (もっと自炊とかするべきだ!)という結論を得たので入ります自炊生活。

 つっても俺のできる料理のバリエーションなど高が知れているわけで、けどしないわけにもいかないので「とりあえず、まずカレーつくっとこう」的、小学生レベルの安易すぎる発想からスタートしまして、さっそく1週間で3回つくってみました俺 a.k.a. 猪突猛進系(バリエーションとか増やす気ゼロ)


■ 7月8日

 「じゃがいもの皮むくのとかめんどくさい」という、のっけから料理全般をナメきった理由で新じゃがを買ってきたはずなのに、いざつくりだしたらすっかり忘れて真っ先にじゃがいもをむきはじめ、最後の1コむき終わる直前に「あ」って思いだした。料理以前に人間として危機。味:普通。


■ 7月10日

 閉店直前のスーパーに駆け込んだところ「カレー、シチュー用」の肉が100グラム480円の高級国産和牛しか残ってなくて、そんなセレブ食材に用はないのでグラム98円の「牛かたまり」とかいう筋ばったブロック肉で代用。資本主義の厳しさを噛みしめつつ調理。味:普通(ただし当然の帰結として、肉が固くて噛みきれない)


■ 7月13日

 「肉の噛みきれるカレー」という低すぎるライン設定の下、調理。肉のグラム単価を倍まで引き上げたため、その目標は難なくクリア。かつ「味的にももうちょっとこうワン・ランク上」を志向しはじめ、トマト、ローレル、オクラ、チョコレート、ちょっと高めの塩・・・など豊富な食材を用意。これで今夜はいける! と思ったのも束の間、基本中の基本であるニンジンを買い忘れていたことが発覚。味:普通マイナス1(ニンジンぶん)


 で、何が言いたいかというと皆さんお気づきでないかと存じますが「つくるたびに毎回、確実にワン・ランクずつ退化」という隠れたウルトラCを決めているのがポイントです。これ簡単そうで意外とかなり難しいと思うんですよね。だって普通、同じもん3回も立て続けにつくったら嫌でも3回めは1回めより美味しくなって然るべきじゃないですか進化論的に考えて。その人間としての本来的な摂理を、意図せず逆行してるらへんに「俺の、俺が俺たる所以」を垣間見ることができます。できません。料理って素晴らしい。

 このまま行くと1週間後には「カレーつくったんだけど焼肉ライスができてました」レベルの素敵すぎる腕前を披露できるかと思いますので、どなたかお腹の空いてる暇人はうちへ遊びに来てください。カレーでおもてなし致しますが、念のため「焼肉のタレ」などをご持参いただくとパーフェクトじゃないかなぁという気がしなくもありません候。