フィッシュマンズ殺人事件


 「ようやく観念したようだな・・・それじゃあ、まず被害者の女性とお前の関係から聞いていこうか。お前が彼女と最初に出会ったのはいつだ」
『ずっと前』
「場所は?」
『シーフードレストラン』
「そこでお前は彼女に声をかけ、すぐさまアプローチをしかけた――」
『帰り道』
「なるほど、うまく誘いだして帰り道で告白したわけだな。そしてめでたく OK され、付き合いはじめた。可愛い彼女だったそうじゃないか」
『頼りない天使』
「ちっ、色気づいてんじゃねえよ」
『幸せ者』
「そうだろうよ。交際は順調で、なんたってプロポーズまでしているんだしな。何を言ったかも覚えてるだろうな」
『愛のためにわがままに僕は君だけを傷つけない』
「・・・馬鹿野郎! ちがうだろうが、くだらんことを言うな!」
『君だけがダイヤモンド』
「そう。お前はそう言って彼女に結婚を迫った、だが彼女には――」
『新しい人』
「浮気相手がいた、と。そしてお前は彼女を刺した。犯行時刻は――」
『土曜日の夜』
「凶器は果物用ナイフ。ずいぶんと小さいものだったらしいな、ええと確か刃渡り――」
『100ミリちょっとの』
「・・・ったく、そんなもんで本気で人を殺そうなんざどうかしてやがる」
『それはただの気分さ』
「けっ、このいかれた Baby め」
『Oh! Crime』
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 「――以上が被告人の供述です。被告人の殺意は明白であり、否定する余地はありません。裁判長、どうか厳粛な判決をお願い致します」
『いい言葉ちょうだい』
 裁判長: 「被告人を、証拠不十分により無罪とする」
「えー! ちょ、裁判長!」
『感謝(驚)』
 裁判長: 「ごきげんはいかがですか」
『救われる気持ち』
 傍聴人: 「すばらしくて NICE CHOICE!」