ain't


 失われゆくものの軌道、その、美しさ。


 蝋燭はその灯火の消ゆる瞬間、最も苛烈に燃え盛る。それはまるで己に残された残り僅かの生命を、ありったけのエネルギーへ転化させ、自らの存在を懸命に、この世界に、刻印しようとするように。


 消えゆく直前の、生命。その神々しいまでの美しさ。


 ぼくはそれを今日、見たんだ。

 ぼくに別れを告げた「それ」は、今までぼくが見たこともないくらい鮮やかな。美しく。奇跡みたいに華麗な弧を一筋描いて、そして消えた。汚いコンクリートの地面の上を、何よりも美しい軌道を描き、走り抜けた。

 ぼくは何もできなかった。その美しさに、ただ呆然と呑まれていたんだ。


 それはまるでぼくに語りかけるようだった、「さよなら」、と。

 「貴方の心の網膜にほんの少しでも、ぼくという存在を焼きつけて!」、と。


 だからぼくはただ黙って、その後ろ姿を見送った。その、この世ならぬ美しい軌道を、ぼんやりと、目で追うしかできなかった(だって、いったい他にどうしろって言うんだ!?)。やがて「それ」はぼくの視界からフッ、と消えて・・・そして。


 永遠へと昇華した。


 ぼくは少しだけ涙ぐんだ。

 睫毛を濡らす涙を拭いて、それから、小さく「さよなら」と言った。



 ・・・うんあのねホームの自販機でジュース買おうとして小銭落として、んで、すーっと転がってってそのまま線路の、電車の下に落ちました。500円玉。マジ泣き。終電1分前。拾ってる時間ねぇー ・゜・(ノД`;)・゜・