Raw Life


 ギターウルフのライヴを99年の Rising Sun 以来、5年ぶりに観たけど全然変わってなくて相変わらずむちゃくちゃヘタクソな演奏をむちゃくちゃ爆音で鳴らしながら汗だらだらで絶叫シャウトで最高にカッコ良くてシビれた。そりゃ涙腺も緩む。ギターウルフのレコードはそういえばあんまり・・・というか殆ど・・・というか最近じゃ正直全然聴いてなかったり連日ヘヴィ・ローテんなるくらい好きなサウンドではぶっちゃけないけど、でも彼らのライヴ・パフォーマンスはなんかもうそーゆーのとは全然違う場所にあるような。カッコ悪いけど最高にカッコイイのだった。終ってからもしばらく耳が痛かった。素晴らしいライヴだった。


 アンコールも終ってちょっと緩みぎみの涙腺を抑えつつ「さーて帰るかー」と思ってたらセージさんが1人、ギター抱えて再カム・バックしてきて「お前ら送り出してやるぜ」っつって「アイ・ラブ・ユー、OK?」を演奏しようとして、けど予定終了時刻を過ぎてたせいでスタッフ・サイドからどうしても了解が下りず、マイクだけ音はもらえたけどギター・アンプは鳴ってなくて、けどその、ほんの小さな生音しか鳴らないギターを一生懸命弾きながら、叫びすぎてもうボロボロの声で最後まで歌い通してくれたセ―ジさんはほんとあまりにカッコ良すぎた。「ロックンロール!!!」って何回も言ってた。周りみんな大泣きしながら「漢」コールで「お・と・こ! お・と・こ!」って最後にセージさんの背中を見送った。


 そして誰かがステージに向かって「音出すの認めなかったスタッフだせーぞ」って吐き捨てた。ぼくもそう思いながら夢の島を後にした。

 けれど、それから家に帰って知ったのは

 http://www.tyc.gr.jp/kougi2004_09.htm

 イヴェントの裏では↑こういう諍いが開催前からずっとあった。ということで、そう考えると「ゆるいフェス」とは思ってたけど、思った以上にゆるゆるでこじんまりしてるなー。って当日、内心思ってたけど、それは開催側もきっと少しでも良い環境をつくろうと最大限に努力して、そのうえであれが限界だったんだな、って腑に落ちて「仕方なかったんだな。お疲れ様」と今では思う。だせーぞって叫んだ彼が悪いとは思わない。けどスタッフも、たぶんほんとはやらせてあげたかったけど泣く泣く諦めざるをえなかったんだろう。誰も彼らを責められない。

 Raw Life を必要としない人たちも同じ場所、夢の島マリーナに同じ日、いた。というだけの話。これは当たり前の話。それでもぼくらはあのイヴェントを楽しんだのだから、それは幸せなことだったと思う。