終章


 5年生になって2回めのクラス替えがあり、担任の先生も変り(その新しい先生は名前どころか、申し訳ないけど性別すら覚えてない。5年生になった2週間めに、ぼくは千葉へ転校した)・・・そして池谷先生はいなくなった。

 我が校に未曾有の音学旋風を巻き起こそうとした(のかどうかは不明だが)池谷先生は、それがムーヴメントに育ちきるより早く、たった1年でロケットのように突き抜けていなくなってしまった。2人めの「音楽」の先生の下で、音楽室が再びオアシスに返り咲いたかどうか、ぼくは知らない。少なくともト音記号を100個書かされることはもうないだろう。


 池谷先生との1年間で、ぼくが学んだことは2つある。1つはすでに何度も述べた「パンク・スピリット」との邂逅。もう1つは「全力で矛盾するとはどういうことか」ということだ。本当に音を楽しむために、ちゃんと勉強して知っておかなければならない。と彼は言ったが

 どれだけリコーダーを分解しても、絶対に音は楽しくならない。


 ・・・それがぼくの結論であり、この話の教訓です。