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 ということで以上、3曲に投票したわけですが「楽曲部門a」の投票は5項目という規定なので、あと2つ Spank Happy 「French Kiss」と「Vendome, La Sick Kaiseki」に1点ずつ。同曲のヴァージョン別がどうカウントされるのか知りませんが「French Kiss」はシングル・テイクが好きなんで、一応そっちを想定して一票。

 「Vendome〜」は初めて聴いたのがペン大の授業んときで、確かまだスタジオが新宿と都立大学を行ったり来たりしてる頃、都立大学「リンキー・ディンク」の、しかもいちばん狭い部屋に(手配ミスで・笑)10人弱鮨詰めでぎゅうぎゅうんなった日の、休憩時間に「新曲できたけど聴く?」みたいな感じで流してもらったときの「うわ。すげー。なんだこれかっけー」っていうインパクトがすごい強烈で印象深い。なのになぜかアルバム持ってません。意味がわからない。すいません。


 あと他にも投票したい項目が幾つかあるんですけど、どれも単票のみで3項目挙げれないんで投票せず箇条書き程度に。


● テクスト部門a

 「swim」全部・・・ってひどい大雑把なまとめ方。でも「何月何日の日記が」とか選べないし、日記以外のテキストも好きだったのばかりで甲乙つけれない。どのテキストがどうこうってより、ぼくにとっては「swim」っていう存在そのものが、1つの大きなまとまりとして大きすぎる。それはもう日本語が不自然になってしまうほど大きい。


● テクスト部門b

 あんまり目を通してないんで「これ!」っていうのは挙げられないけど、やっぱり自分でやったの(http://www.geocities.jp/am_planetarium/spanks.html)がどうしたって思い出として強いです。序文にも書いたけど、すでに他所で語られている話も部分単位で複数あるし、だからインタビューそのものや希少性ってよりは完全に個人的な思い入れ。楽しかったし、あとテープ起こしが死ぬほど大変だった。やー喋る喋る。

 テープ起こしって何度かしたことあるけど、そん中でもズバ抜けてしんどかった。なんていうか密度の桁が違う。単に饒舌ってだけじゃなく、頭の回転が桁外れに早いんで話題が切り替わるときも全然スピードが淀んだり止まったりしない。これ以降、菊地さんのインタビューを目にするたびに「あーこれ起こす人大変だったろうなー」って無駄に感情移入するようになる。

 起こすに際して、句読点と「・・・」の打ち方にものすごい気を配った。実際に菊地さんの喋ったリズムと、かなり厳密に対応してる点にかけては自信ある・・・というかテープ起こしで他に自信を語れる場所もあんまり多くなさそうだけど。この経験が(これまた超個人的な話ですけど)けっこうデカくて、今の自分の書く文章の、リズム的なベースになっている。と思う。たぶん。これやる前と後とで、だいぶ自分の文体が変った。


● テクスト部門c

 例によってあんまり読んでませんが1つだけ。文藝別冊「マイルス・デイビス」の、佐々木敦さんとの対談(特別講義「マイルスはなぜすごいのか」)・・・「swim」はどちらかと言えば「なんてロマンチックで生々しくて躍動的な文章だろう」っていうタイプの刺激なり感動が大きかったけど、こっちは「うわ。なんかこの人ほんと頭良くてすげーな」っぽい意味で好き。

 ぼくはジャズに全然明るくないですけど、でも「On The Corner」が名盤だ。っていうくらいは読んだ当時も「知識として」知ってて、けどそれを「結果として名盤だけど、実はセッションとしてはクズだったんじゃないか」みたいな(あくまで可能性とはいえ)捉え方じたいを初めて聞いたし、そういう目から鱗の落ちる考察がいっぱいあって面白かった。「詐欺の二乗で、マジックとして最強なんですよ」とか好き。あと終り方。


● ライヴ部門a

 前述の、2002年のフジ・ロックですかね。デートコースのライヴは、やっぱり初めて見たときのインパクトって絶対デカいと思う。「なんだあのずっと背中向けてるド真ん中の奴は!」っていう。勿論それだけじゃなく音もカッコイイと思うけど、どうしてもヴィジュアル的にぐさっとくる。コンダクト・スタイルと言えば菊地さんか不破さんか。ですけど(というか他に知りませんけど)渋さ知らズだと他の視覚的要素が多すぎて、インパクトが散っちゃうから不破さんひとりに集中する感じじゃないですよね。

 ぼくの場合は初デートコースが Fuji Rock だったんで、この日の印象がやっぱり大きい。言い換えれば初めて見たのが別の場所だったらきっとそっちを挙げてるわけで、つまりきわめて浮動票に近いんですけど、まぁそれを言いだすと今日の全エントリーが丸ごと成立しなくなるので良しとします。