ENDLESSxxxSUMMERxxxSOUND


 今更ですが2月11日、ROVO presents "Man Drive Trance!" の話をします。

 行く前からぼくには予感が2つあって、1つは NATSUMEN がいきなり1曲めで「Pills To Kill Ma August」をブチかましてくるんじゃないか。ということ。もう1つは久々に「Newsummerboy」を聴けるだろう。ということ。


 1つめは的中し、午後7時ちょい過ぎのリキッド・ルーム恵比寿。フロア隣のバー・スペースでビール片手に宮崎さん(id:neema)吉田くん(id:t_yoshida)オカヤさん(id:hasumukai)とのんびりしていると不意に歓声、スタン・バイする NATSUMEN を遠目にフロアへ駆け降り・・・るや否や、鳴りだす「Pills To 〜」イントロの逆回転音。この瞬間が、いつも本当にゾクゾクして好きだ。


 「Pills To Kill Ma August」はもともと BOAT 後期の曲で、アルバム「Roro」と並び、ぼくにとって大切すぎる思い出の1つ。で、その NATSUMEN ヴァージョンがぼくは BOAT のよりもっと好きです。アコースティック・ギターが印象的で、縦横無尽に暴れ狂うサウンドの中にも繊細さを強く打ち込まれる BOAT 音源に比べ、現編成での NATSUMEN の演奏は、イントロの静寂が破れた瞬間から、ひたすらラストまでざくざくドライヴする。なので単純にライヴ映えするせいもあるし、あとまぁ今んとこライヴでしか聴けないっていう希少価値みたいのもあるかもしれない。けれど、それを差し引いてもホーンが雄々しく鳴らし上げるサビの恍惚感や、アコギでなくピアノ音で奏でられる中盤のブレイク(3→5拍子に変わるとこ)の勇壮な雰囲気がぼくは好きだし、なんていうか・・・NATSUMEN っぽい感じがするのだ。いや NATSUMEN だし当たり前なんだけども。

 イントロで7拍子をカウントするアインさんが可愛すぎる件について。は今更あえて言うまでもないので割愛しますけど、とにかく NATSUMEN ライヴに於ける、ぼくにとって「Pills To Kill Ma August」は(ほぼ)常にハイライトを意味するのです。ここからは想像の域を出ないけど、NATSUMEN 的にも演奏して非常に手応えを得れる曲じゃないのかな。だからこそ vs ROVO という超強敵とのアウェイ戦である今回、冒頭でいきなりブチかまして度肝を抜いてくれるんじゃないか・・・となんとなく思ってぼくはいたし(その仮説の正否はどうあれ)実際そうだった。


 とはいえ、この日の「Pills To 〜」は正直ちょっと物足りなく感じたのも事実。どこか演奏がまだ固くて、ちぐはぐな印象を受けた。勿論それでも十分カッコ良かったし、NATSUMEN 初見の ROVO ファンの人たちの、確かに1発めで度肝を抜いてはいたんだけど、たぶんそれはぼくの「Pills To 〜」への過剰な思い入れのせいかもしれない。閾値が高すぎて。

 やや固く感じられた演奏は、続く「Summer Of The Tiger *1」「Whole Lotta Summer」らへんで良い具合にこなれてきて、圧巻だったのはラスト「Sonata Of The Summer 〜 Natsu No Mujina」のメドレー。この頃はもう完全にいつもの爆裂 NATSUMEN モードで、特に「Sonata Of The Summer」の中盤でキーボードとサックスの即興へ入り、一瞬、音が切れたと思った途端「Natsu No Mujina」へと雪崩れ込んだあの瞬間! あの壮絶な至福! 今日のハイライトは間違いなくこの瞬間だった。なんかもう全部、飛んだ。


 結局2つめの予感は外れて、今日も「Newsummerboy」は聴けなかった。1月の2回と併せて、今年のライヴ3回とも演ってない。少しも残念じゃないと言えば嘘になるけど、でも今んなって思うと、言い方はちょっとあれですけど「Newsummerboy」って最短距離というか。すごい近道だと思うんですよね。ROVO メインで来てるオーディエンスをいちばん手っ取り早く喜ばせれる曲というか、演ればまぁまず間違いなくフロア大熱狂だったと思うんだけど。にも拘らず、あえてその安牌を使わず他の手持ちのコマで40分、十二分に聴き応えあるステージを炸裂させてくれた NATSUMEN のバンドとしての体力というか。頼もしさを強く感じました。


 NATSUMEN で力尽きてぐったりしたので Joseph NothingROVO はまったり鑑賞。ひ弱。中西さんの抜けた新体制の ROVO は、今まで以上にどっしりした印象を受ける。山本さんのギターを初めてこんなにいっぱい聴いた気がするんですけど、それは単にいつも勝井さんばっかしか見てないせい・・・という有力説に我ながら一票。

*1:追記/この曲は「Septemujina」と改題され、アルバム「ENDLESS SUMMER RECORD」に収録