クライン・クライン


 旧友Nと偶然、再会する。小学校1〜2年ん頃のクラスメイト。ぼくが5年生で引っ越して以来の邂逅なので、ということは実に15年ぶりだ。再会できた偶然以上に、ぼくをぼくと見抜けたNがすごいと思う。だって15年よ? 俺らが別れの盃を交わした頃に生まれた娘も気づけば立派に中学3年生ですよ。来月で女子高生ですよ。この例えの意味わかる? 要するに、俺が単に「女子高生」って言いたかっただけですよ。他に意味など存在しない(さいてー)


 というわけで、これから「女子高生」という響きに含まれる一種の甘美さ。その無上の素晴らしさ。時に神々しさ、とさえ呼べるそれについて100行くらい熱く語ろうと思います。え? N? いや別に奴はどうでも良いよ。つっても偶然会っただけだしさ。俺とNの「友情とは、げに素晴らしき哉」っぽい思い出話 in 少年時代とか全然ないし。つーかあいつ、俺のお別れ会に顔すら出してねぇよ。確か水疱瘡で。死ね、とさえ思ったよ実際15年前。けどもし水疱瘡の身で無理に来られても、きっとその100倍死ね、って思ったと思うから良いんだけどさ。その話は別に。Nのお母さんに電話で「ほんとごめんなさいね。引っ越してからも弘樹と仲良くして頂戴ね」って言われちゃったよ。お母さん 社交辞れ 約束破ってごめん。弘樹か浩樹かも思い出せない俺でごめん。とりあえず弘樹でいくけど、あと、わりとおとなしめだった弘樹くんが久々に会ったら、なんかちょっと軽くBボーイ入ってましたけど何かあったんですかご家庭で。15年って長いですよね。


 そんでまぁNと、世間話程度に「どうよ?」「おうよ」とか友情復活トークしちゃったわけなんですけど、そしたらNが「そういやさー最近ブログってやつやってんだよ俺」とか言うんですよ。でね、ぼくは普段、特例を除いて(家族とアルバイト先の店長以外、基本的に)サイトを隠してないんですけど、なんかでもNが「なーお前さー、ブログって知ってる?」みたく、すごい得意げに言ってくるわけ。なんつーかもう、ものすごい「ブログっていうのはね・・・」って自慢げに解説したげな空気が漂いまくってて。したげまくりですけど。で思わず「あ・・・うん、名前は聞いたことあるけど詳しく知らない」なんて答えちゃったわけですよ。

 したらもう意気揚々とN、語る語る。案の定「あーやっぱ知らねっかー。えとさ、ブログってのはさ・・・」って口火を切って、ブログがいかに画期的か。今いかに注目されてるか。眞鍋かをりとヤクルト古田がトラック・バック数を競ってるとか、なんともまぁご丁寧に詳述してくれるんですよね。で俺は「へーそんな人気あるんだー」だの「面白そうだねー」だの、これぞ営業マン! みたく聞き上手装って適宜、相槌打ったりしてたんですけど。


 途中から雲行き怪しくなってきて。というか会話の流れで、ぼくが「なんでブログっての?」っぽい質問を投げたんだけど、するとNが、これまた待ってました! とばかり得意げに解説しだし・・・たんだけど、したらいきなり「ブログって『BLOC』と『LOG』を足し合わせた造語なんだよ」と来たもんだこれ。え? BLOC? いやログのほうはわかるけどブロックて何? と返す間もなく「ログってわかる?」「あー・・・なんか、あの過去ログっていうときのあれ?」「そうそう、そのログ。で、ブロックはブロックじゃん。四角いやつ。それでブログ」

 いや「それで」の意味が全然わかんねぇよ! と、なんとなく言えず「えっと・・・つまりデザインが四角くて、そこにログがいろいろ載ってるのがブログ?」「おー。わかってきたじゃん」・・・15年ぶりにNへの殺意が再燃したよ。てゆーかお前、どこで掴まされたんだそれ。露骨に怪しいよ。なんで四角くないとダメなんですか先生。つーか気づけ普通に。目を覚ませ!


 ・・・って結局、最後まで言えなくてすいませんでした。という話。その後、Nのブログのアドレス無理矢理メモらされて別れました。さっきちらっと覗いたら「大阪の郵便局員、スカートめくり写真撮影」のニュース(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050308-00000002-abc-l27)に全身全霊で突っ込んでました。こういう奴、人間として許せねーよ! って息巻いてた。それを見てぼくは小2んとき、ぼくの初恋だった女のコ(Aちゃん)のスカートを執拗にめくりつづけて泣かした挙句、帰りの会で糾弾されると「Aのスカートが赤かったから2人で牛ごっこしてました」と、さも平然と言ってのけ、以後しばらくクラス中の女子に総スカン食らってたNの勇姿を思いだした。こうしてみんな大人になってゆくのですね。