Pills To Kill Ma August


 「やばいね」「やばかったですよ」「や、今日ほんとやばかった」「すごすぎますねこのやばさは」「うん、ほんとすごいわ最高だった」「こんなやばいとは思ってませんでした」「俺も今日はやばいと思った」「すごすぎましたね」「あとアインさん可愛いよね」「やばすぎますねあの可愛さは」「やばいよなーやっぱあれは」

 ・・・オイオイなんですかお前らその貧しすぎるボキャブラティ炸裂な会話は? という話なのですが、いや実際これが一昨日。6月18日。渋谷クアトロで NATSUMEN が演奏を終えた直後の、俺とマキちゃん(id:tricot69)の会話なのでした。だってほんと、何度も言うけどやばかったって! 他の言葉を咄嗟に用意できないくらい、この日の NATSUMEN は本当に凄かった。素晴らしかった。今まで見た中で(といってもそれほど回数多くないけど)確実にベスト3に入る・・・というか1位でも全然おかしくない。


 あまりに素晴らしかったそのライヴが終り、なんかもう燃え尽きたというか放心状態みたくなってて「ちょっと今とても歩ける感じじゃないから少し休んでこう」てことで宇田川町のサンマルク・カフェに入ったんですけど、チョコクロとコーヒー啜りながら20分くらいほんとに放心してた。呆然となってた。その20分間でぼくらが交わした会話の、おそらく90%以上が「やばい」と「すごい」と「アインさん可愛い」の3フレーズのみから構成されていた、と言っても過言じゃないと思う実際。

 世間は今、季節的に梅雨らしいですけど、あの日、クアトロは間違いなく夏だった。それはもう江ノ島以上に夏だった。気づいたら俺はなんとなくというか100%夏だった。というか透明少女ってもしかアインさんのことじゃねーの? と俺は思わないでもないのだが夏ですよ。さすがにそれはないことくらい俺も薄々気づいてるので無理矢理「夏ですよ」って結んでみましたけど、で、それもまた痛いくらい露骨に失敗してみましたけどえーとなんの話だっけ? とにかくこの日の NATSUMEN はちょっと半端じゃなく凄かったのでした。


 曲順とか覚えてないので(というか、本当に心の底から打ちのめされたライヴのときって、えてしてセット・リストなんて全然覚えていないのだ。他の人がどうか知らないけど、少なくとも俺は。終った後に曲順はっきり思いだせるときって、たいていイマイチだったり、良くても「良かったけど・・・」って、なんとなく「けど」が付く。けどこの日はもうほんと最高でそういうの全部飛んでて、終った後どころかライヴ中でさえ「1曲前なんだったっけ?」って思いだせなかったと思う。というかまぁ、そんなの考える余裕もないくらい飛んじゃってたわけだけど)・・・で、なのでいきなり終盤の話から入りますけど、やっぱりこの日も俺の中の最大風速は「Pills To Kill Ma August」でした。


 この日の「Pills 〜」は本当にもう・・・何? わかんない全然言葉にできない。「何?」って誰に聞いてんだって話ですけど。AxSxE さんがイントロ弾きだした瞬間「うわっ」って。うわ・・・なんかもうやばっ! ってなって。で下のなんか機械踏むじゃん? んで音がぐにゃーって逆回りに歪み始めて、もうその「ぐにゃー」がさ! どう言えば良いのかほんと全然わかんないけど、その「ぐにゃー」の中にいる自分というか。その音に「溶けていく」のと「包まれてく」のの中間みたいな、あの瞬間の、感情とか感傷とか郷愁とか。何も考えれなくて頭ん中真っ白になっていく感覚とか。真っ白になっていきながら全身に感じる、どこまでも心地良い安心感のようなものとか・・・あの「ぐにゃー」が俺に与えてくれる、俺の感じているあの素晴らしさを俺はどう表現すれば良いのか本当に全然わからない。最も安易な逃げ道を使えば、それはまぁいわゆる「トリップ」っていうのと同じ種類のものだとは思う。


 ライヴが終って2日経つけど、俺は今でもあの日の「Pills 〜」を頭ん中で完全再生できるよ。たぶん誇張じゃなく。というか今まさにこれを書きながら連続リピート中なわけだけど、AxSxE さんのイントロ。逆回転。アインさんのカウント。静かに入ってくるホーンの音。低音がじわじわ膨らんでいって、やがてそれだけになって、そして全部の音が爆発する瞬間・・・そこまでの最初の1分を思いだすだけでぞくぞくする。

 クアトロんとき、俺は、中盤の蔦谷さんのソロ・パートんとこで感極まってもうわけわかんなくなってた。これは大袈裟とか過言とか、わざとカッコつけた言い方してるとかじゃ絶対なくて・・・と断ってから言うけど、あの日、ステージ・ライトの白い光が、本当に夏の太陽のじりじりした日射しに見えた瞬間が何度かあった。いやマジで。本当にあった。それは錯覚だけど、でも確かに夏がそこにあった。俺は「Pills To Kill Ma August」を聴きながら、アウトロの倍速でぐわーって盛り上がる爆音を浴びながら、本当にあと1分でも長く、あと1フレーズでも多く、ずっとこの音を聴いていたいと心底思ってた。


 ・・・まぁ当然、終ったわけですけど。終って、俺は隣のマキちゃんに「またちょっとビール買ってくるわ」と言って、この日3回めにステージを離れた。俺はライヴはビールで頭ふらつかせながらゆらゆら見るのが好きなので、この日も NATSUMEN が始まってからすでに2回、アルコールを買い足しに行っていた。けど、この3回めは嘘でした。俺はビールを買わないで、バー・カウンターの隣のドアからフロアを出た。出てすぐんとこに灰皿があって、そこで煙草を吸いながら、ドアの向こうから次の曲が始まったのが小さく聴こえてくるけどまだもうしばらく戻りたくなくて、ぼーっと2本か3本吸いながら「Pills To Kill Ma August」の余韻に浸ってた。かなり長い間。で、気づけばその短い曲はもう終って、まだドアの向こうから、ラストの「Natsu No Mujina」のイントロが聴こえてきた。


 俺はこの日のライヴの感想を、まだまだもっといくらでも書き連ねることができると思う。例えば「だいたいいつも NATSUMEN のライヴはノッケからガツンて来る感じじゃなくて、どっちかと言えば序盤はじわじわテンション上げてって、中盤くらいでドカンとメーター振り切ってあとはラストまでブッちぎる・・・っていうのが俺ん中のデフォルトっぽくなってたけど、この日はそうじゃなくて最初の「Septemujina」からいきなり最高潮だった」こととか、「今までライヴ2〜3回に1回くらいやってた「Newsummerboy」は、けどまだ CD を超えれてる気が正直しなくて、なんかモタついてたりしてあんまり好きじゃなかったんだけど、この日初めて演奏のガチッと決まった「Newsummerboy」を聴けてそれもすごい良かった」とか、「そういえば今までで初めて「Sonota Of The Summer」やんなかった」とか、「聴くごとに「Atami Free Zone」はカッコイイ曲だし良くなってってる気がする」とか、「新曲(確か「Atami 〜」の前か後くらいにやった、ドラムとベースだけでバキバキ突き進んでくパートが印象的な曲)も聴くのたぶん今日で2回めだけどキマってたなー。特にベースが今日すごい良く思えた」とか・・・あとまぁ当然忘れちゃいけないのが「アインさんは今日も最高に可愛かった」てことですけども。

 で、その最初の「今日は最初の「Septemujina」からいきなり最高潮だった」のとかね勿論、伏線としてかなりデカイと思うんですけど、でもやっぱり今思い返して真っ先に頭ん中で鳴るのは「Pills To Kill Ma August」でしかなくて。もし「Pills 〜」が1曲めだったらまた感想も全然違ったと思うけど、この日の、あの並び(知らないけど)の中で、あのタイミングで、あの立ち姿で、あの音で演奏された「Pills To Kill Ma August」は本当に最高に素晴らしかった、という。それに尽きるというか、いろいろ何か言っても結局ここに戻ってくる他ないと思う。


 はい、というわけで自慢終了ー(id:rrrring:20050620#p2)・・・だから江ノ島より渋谷っつったじゃん! 一昨日の俺の深夜の説教をきっちり胸に刻み込んで、次はちゃんと来てくださいマジで(ていうか深夜に説教とかしてほんとごめん最低)

 というか普段 NATSUMENNATSUMEN 騒いでるわりに実はライヴ歴そんなに長いわけでもない俺が偉そうに言うのも恐縮ですけど、でもね1つだけ言うけど、ここ半年ほど75%の割合で追っかけしてる俺なりに思うのは、ほんと今ものすごい勢いで加速度的に良くなってってると思いますよ NATSUMEN。毎回確実に進化してる・・・とまで言っちゃうと JARO に引っかかりますけど(ムラの大きい方々なので(たぶん主に人間的に(推測です(あくまで推測))))、でも見れる人はほんと見といて損ないと思います。

 とうとう来月は待望の大阪公演なわけですし、お(id:lostguitar)ま(id:ninnycat)え(id:fahrrad)ら(id:see_jungle)み(id:chepooka)ん(id:flyflap)な(http://www.iq01.jp/blg/)ベイサイド・ジェニーに集結しとけば良いじゃない。「お熱っぷりは少しずつ冷めてきた」とか言ってる場合じゃないじゃない、と心底思うわけですよ俺は。まぁ京都やら兵庫から大阪までの距離とか全然わかんないで適当に呼びかけてみましたけど遠すぎたらすいません。ちなみに1文字ぶん穴が開きそうだったんで100%遠すぎる人とかさりげなく紛れ込ませた俺の創意工夫を誰か誉めてください。無理。