おいしいごはんはけんこうなはとはぐきから


 つーことで歯医者行ってきた。人智を超えた激痛に一晩のたうち回った結果、諦めて泣きながら電話しました。予約の。マジで皆さん、いくら美味いからって期間限定ココア仕上げの「冬のくちどけ」ポッキーの食べすぎには十分ご注意ください。俺の虫歯の原因の、まず疑いなく可能性としてこれが8で、残り2がコートドールです。で、あと「歯磨きし忘れて寝た」が90あります。要するにチョコレート食ったら寝る前ちゃんと歯ァ磨けコノヤロー! てことです。うわ当たり前すぎる話すぎてビビった。小学生ですか俺は。

 けどそれ以上に歯医者にビビってました。ぶっちゃけ心の底から怖くて目を瞑りつづけてた。歯医者ていう存在そのものを黙・殺! しかし激痛のあまり「このまま行くとむしろ殺されるのは 7:3 か 8:2 くらいで俺優位め」の現実を、残念ながら知ってしまった少年(26(夢見がち))は涙まじりに呟いたのです・・・歯が! 歯が死ぬほど痛いっすドクター!


 「いやドクターじゃなくてデンティストだから」と、電話口の受付嬢は冷たく言い放ちました。ぴしゃーん。マシーナリーな現代社会を俺は憎む。そして指定された時刻に歯医者へ向かいつつ、きゅいんきゅいーんががががが。の戦慄の旋律を脳内オート再生して鳥肌りつつ、無事生還した暁には、その煉獄を実写レベルの鮮明さで描写してせめてもの溜飲を下げてやる・・・そんなささやかすぎるネガ発想で、歩きながら「Dentist GOTHAM said, "Come on. Let's dance all night long in hell, are you ready?" −激闘! 歯医者24時 〜男はつらいよ(主に虫歯で、編)〜」とかいう日記タイトルまで考えてたんだよ俺は。なんかもう意味わかんないけど、つまりそんくらいビビってた。つまってない。ていうか歯医者こえー。


 ところが、ですよ奥さん。これがねアンタびっくりするくらい全然痛くなくて逆にびっくりだったよ。あまりの無痛っぷりに拍子抜けした。えー歯医者ってこんなさっぱり何事もなく安穏なまま終了で良いの? て気さえしたよ。最初、診察してもらって「あーこれかなり神経まで深くいっちゃってますね」とか、さらっと言われた瞬間はもう恐怖度 max で幽体離脱直前紙一重レベルだったんですけど、いざ実際、治療に入ったらね、きゅいんきゅいーん、てやられながら、がががががって削ってんのにさっぱり痛くも怖くもなくて、寝そべって口開けながら俺「あー・・・ていうか『Dentist GOTHAM said, "Come on. Let's dance all night long in hell, are you ready?" −激闘! 歯医者24時 〜男はつらいよ(主に虫歯で、編)〜』はボツだなこれ」とか余裕綽々で考えれてたくらい何事もなかったよ。いやマジでなさすぎ。

 思い返せば歯医者なんて行くの、もう17〜8年ぶりとかそういうレベルなんですけど、このあまりの何事もなさすぎっぷりは「これが普通で、17〜8年前に俺の通院してたのがたまたま Bad Luck でゴッサムだった」のか「俺の知らない17〜8年間に、機械とか麻酔の精度が飛躍的に向上したとかそういうテクノロジー的な何か」なのか、或いは「単に俺がこれでも17〜8年ぶん一応、成長して痛みに耐えれるようになった」ていうだけなのか。わかんないけど、わかんなくても痛くないに越したことはなくて全然 OK なんですけど、ていうかこれなら最初ちくっと痛みだした瞬間に速攻、来とくべきだった気もするし、まぁそれは気じゃなくて事実ですけど、とにかく、そうだなーなんていうか・・・歯医者最高。麻酔とか楽しかった。口ん中の、あの「異物感」と「なのに違和感なさ」の鬩ぎ合う感覚、みたいのが面白くて。