Sweet Spot


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 やおい穴って中国医学における三焦みたいなもんじゃないのか。

 やおい穴には妊娠機能を有する例も少なからず(!)存在しますので、三焦以上にハイ・スペックなアルティメット器官ではないでしょうか。ところで「お目覚めテレビ」の結野さん、「ニュース・ザ・江戸」の花野さん、ときて次なる第3の花形アナウンサーは矢追さん以外にありえない・・・という主張をぼくはだいぶ前からしてるんですが、未だ登場していないので「ああ、ジャンプにもまだコードという名の良心が残ってんのかなぁ」って、しみじみ感慨に耽りつつ朝。


 という話をしたかったんじゃ全然なくて鈴木志保さんの新刊に心潤されたよ話をしたかった俺は・・・のに、なぜこんなことに。5行上で「アルティメット器官」とかほざいた口でお勧めしても説得力ゼロ、どころかマイナス・バイアスかけまくっちゃうんじゃないか不安いっぱいタイト・ロープ原罪トーキングで強行突破しますけど、3年ぶりの新刊「ヘブン・・・」がやっぱり素敵すぎます。
 ヘブン… 鈴木志保ヘブン…


 どうでもいい語彙ばかり駄ストックしといてちょっと真面目に感想とか書こうとすると途端に電池の切れることで有名な西田こと俺ですけど、鈴木さんの画面を見たときの、なんともいえない心のほっこりする感覚を言い表すのに「素敵」以外、やっぱり何も思いつかないので許してください。

 シンプルな直線と曲線の組み合わせと、白/黒の塗り分けと、それらの配置だけで(・・・って言ったら「いやそれ漫画って全部そうじゃん」ていう話で、そのへんはぼくの貧弱な説明より実際に見てもらえれば一発なんですが)こんだけ感情豊かな画面をつくれちゃう鈴木さんはすごいです。特に線。1冊を通して、書き文字を除くほぼ全ての線が定規で引いた歪みのない線(つまりフリーハンドの部分が一切ない)んですけど、キャラクターのひとりひとりと、ひとりひとりがコマごとに見せるいろんな表情の多彩さと、何よりこの愛くるしさはなんなの! と小一時間、問い詰めたくなるくらい可愛い。ベツレヘム(少女)もカモミール(くまのぬいぐるみ)もチェシャねずみ(の擬人化)も可愛いし、AA の紙キレだって何この可愛さ! と小一時間、問い詰めt(略)


 もちろん紙キレがそんなにも可愛く見えるのは、単に作画がそうってだけじゃなく、キャラクターや明かされる正体などのストーリー的なバック・アップでさらに増幅されてるんだけど、そのストーリーがまた良いんですよ。要は(かなり大雑把に「要し」て言えば、ということですが)前向きな人間賛歌・・・というか人間以外のキャラクターのが多いんで「万物賛歌」? になるんだろうけど、ただ安易に「かわいいは正義」っぽいんじゃなく、その裏側の喪失――切なさとか儚さを乗り越えるふうに描かれていて沁みる。

 例えば筑波さくらさんの諸作品とか「よつばと!」の読後感に似てるかなあ。なんかちょっと恥ずかしいくらい「世界って最高だね」とか「生きてるって素晴らしいね」って叫びたい衝動が、内側から沸々滲んでくるような。恥ずかしいくらい眩しくて強烈な「お前らとにかく問答無用で幸せな気分にさしてやる」熱が全体に満ち満ちてる感じ、というか。


 たぶんストーリーとかもうちょい具体的に説明しないとわかりづらいと思うんですが、おそらく未見の方が多そうですし、ぜひ実際に見て&読んでほしいのでしません。ぱらぱら立ち読みする程度だと(つっても漫画の立ち読みできる本屋ってもう絶滅しかけてると思いますが)パッと見「うわ、なんかオシャレっぽい」ていう拒絶反応を起こしちゃう人もいるでしょうけど、できたらなるべく腰を据えて、じっくり読んでほしい作品です。

 鈴木志保さんは「船を建てる」(http://www.fukkan.com/vote.php3?no=13749)と、未単行本化の作品群(http://www.fukkan.com/vote.php3?no=29708)がどちらもリクエスト100票超えて現在、復刊待ちですが、ほんと心から交渉成立を願いたいです。こないだ「FNS 地球特捜隊ダイバスター」 DVD 化に応援を! って言われて投票したら、10日くらいですごいあっさり「応援ありがとうございました! DVD 化決定しました! 出たら買ってください!」っていう大人の事情の垣間見える返信が来たんですけど、ここまであっさりだと待ち甲斐も何もあったもんじゃないというか、ノリで投票したけどいざ DVD 化って言われると別にどうしても欲しいわけでもないんだよね・・・的な俺の心と秋の空なんですけれど、なのに心底待ち望んでる「船を建てる」はもう1年以上「交渉中」のまま音沙汰なしで、なぜ世の中はこうも不条理なんでしょうか。