ミッシェル・ガン・エレファント / ラスト・ヘヴンズ・ブートレグ


 ミッシェル・ガン・エレファントは物凄い勢いで凝縮されてってバチンと弾けて終ったようなイメージがある。


 「世界の終り」で彼らに出会ったぼくは一発でメロメロんなって、だから今でも「カルト・グラス・スターズ」が一番好き。その頃ぼくの求めてたものがこのアルバムに全部入ってた・・・とか言うとカッコ良すぎな気もするけど、あながち冗談じゃなく思えるくらい何度も何度も聴いたと思う。「キング」と「I was walkin' & sleepin'」と「眠らなきゃ」と「リメンバー・アムステルダム」が特に好きで聴き倒してた。思い入れが強すぎてそれ以降のアルバムと比べるのは難しい。


 ぼくが16歳の頃リリースされた「カルト・グラス・スターズ」の「トカゲ」と「ブラック・タンバリン」と「世界の終り」を、2003年にミッシェル・ガン・エレファントが鳴らしたサウンドで聴くと、その圧倒的な「重さ」の差分に驚愕する。7年という月日の間に、彼らはこれほど強靭な肉体へ深化を遂げていた。

 彼らは「スモーキン・ビリー」辺りでバンド名の表記を、従来の小文字から大文字に変えた。「音がバキバキしてきてこっちのが似合う」とかそんな理由を言ってたと思う(実際このエントリーのタイトルを最初「thee michelle gun elephant / Last Heaven's Bootleg」って書いたんだけど、確かになんか違和感あったんでカタカナに変えた)。そのくらいミッシェルは重くなった。ぼくはその金属質の重みについていけず振り落とされた側の人間だけど、とはいえ THEE MICHELLE GUN ELEPHANTthee michelle gun elephant に劣るとは全然思わない。それは単純に好みとか、順番や時期の問題だ。さっき「進」化でなく「深」化と言ったのも、つまりそういう心情に拠る。


 ミッシェル・ガン・エレファントの解散を知った去年の終り頃、悲しいとか淋しいじゃなく「あーそーなんだ。別にまぁどうでも」としか感じなくなっていた自分に何より驚いたのを思いだす。けれど今「カーテン」や「ガールフレンド」のライヴ・テイクを、やっぱりカッコイイなぁ。と思いながら聴いている。


 回数的には「カルト・グラス・スターズ」以上に多く聴いたミッシェル音源(いわゆる1つの個人編集。こういうのつくってる時間の、楽しくて仕方ないのを痛いほど知ってるからこそぼくらはCCCDに反対しなくてはならない)


 Steppin' Stone / Soda Pressing / キャンディ・ハウス / I was walkin' & sleepin' / バードメン / Vibe On / スロー / バランス / Remember Amsterdam / オートマチック / Out Blues / リリィ / ジェニー / 武蔵野エレジー / 眠らなきゃ


 蛇足のうえに時期外れな今更感たっぷりであれだけど、「ブランキーに次いでミッシェルもいなくなってこれでとうとう邦楽ロックも終ったな」って言う人をいっぱい見るけど、こういう言い方がぼくは嫌いです。とても。