帰りのバスん中で、


 こちとらぐったり疲れてぐっすり寝たいってのに後方の高校生男子6名の、卒業旅行と思しき連中が発散しきれぬほど多量のリビドー持て余しまくってるらしく大騒ぎしやがって全然寝つけず、奴らの騒音をシャット・アウトすべくmo'some tonebender「トリガー・ハッピー」をヘッドフォンで爆音で鳴らして聴いてるうちに眠れたまでは良いとして、リピート・モードを解除し忘れたため眠っている間その爆音が延々鼓膜を射撃しつづけてたせいで起きたら耳が凄まじく痛いっすもう満身創痍。


 なのはともかくmo'some tonebenderさん。彼らのライヴを初めて観た日付までしっかり覚えてるのはZepp Tokyoコーネリアス電気グルーヴが対バンしたとき、そのチケットが取れなくて代りに行った「ファンクラブ」の確か6回めで99年の12月16日だからもう4年以上前か。

 日付「まで」っつったけど実んとこ「だけ」のが正確で、正直そんときは「へぇー」くらいの印象しか抱かなかったです申し訳ないけど(何よりこの日はナンバーガールがラストを「転校生」で〆てくれたのがすごい嬉しくてカッコ良かったこと以外、他あんまし覚えてない)。


 とりあえず名前はイン・プットしてそれ以降・一通り耳を通しつつ「好きな音だしカッコイイと思うんだけどそこまでドハマリもせず」な状態でずっときてて、とうとう今回のでガッツリ持ってかれた。


 「ライト、スライド、ダミー」の帯の、「オルタナティヴであるということ」という・たった1行が個人的にすごい好きで、うわぁこれは名フレーズだ。と思ってて(蛇足ながら「プラネタ alternative」ってのはつまりここから取ってたりもするんだけれど)その名フレーズを彼らが確実に血肉化したのは1つ次の、この「トリガー・ハッピー」だと思う。感覚的な言い方になるけれど、従来がオルタナティヴ「な」音。とすれば、オルタナティヴ「である」という同時性を体現してみせたのが今回のアルバムって気がする。そもそもじゃあオルタナティヴって何よ? っつわれたらはっきり「こう」って答えられるわけじゃないし定義も線引きも曖昧だけど、でもなんかそういう言葉遊びじみた連想をぼくはする。


 「オレの言っとることわかる? この意味わかる?」


 定義も線引きも曖昧で、それでも「どのへんをオルタナティヴと思うか」と更に問われれば、百々さんのこの問いかけの、起伏のない平坦な素の声が、驚くくらいカッコ良くて無性にぞくぞくする瞬間。ってきっとぼくは答えると思う。